神社で除霊はできるの?
「お祓い」の作法と、霊障の正体とは…
~現役神職が教える、神社の裏話~①
数年前は、練炭自殺があった公園でお祓いを実施しました。土地を守護する産土(うぶすな)の神様を祭壇にお招きし、今後、事故や災いがないよう現場を祓い清め、自殺者の慰霊をお祈りしました。
そもそも、神社は個人のお願いごとを祈る場所ではなく、五穀の豊穣や地域の安全を祈る共同体のための空間です。経済基盤を確保するために、平安中期以降に個人の御祈願が始まったとされています。
いっぽう、日本の仏教界は、昔から先祖供養や個人の葬儀を専門としていました。全国各地に、水子供養や人形供養を専門としている寺院が存在します。どちらかといえば、霊に関わる問題は、神社よりお寺の方がふさわしいのかもしれません。その他、恐山の「イタコ」や、沖縄の「ユタ」といった民間信仰、「拝み屋」と呼ばれる個人の霊能者も「霊」に関する分野を扱っているようです。しかし、過去には高額な祈祷料を求められ裁判問題となったケースや、激しい修行がエスカレートして暴力事件に発展した事例もありますので、じゅうぶんな注意が必要です。
近年、脳科学の分野、臨床心理学の発展により、霊にかかわる問題も徐々に明らかになっています。多くの関連書籍では、「霊障は、その人自身の過去のトラウマや、強い思い込みが引き起こされる幻覚や幻聴」とされています。私自身も、「霊が見える」「何か変な声が聞こえる」という人には、すぐに神社でお祓いを受けるのではなく、事前に心療内科でカウンセリングを受けることをお勧めしています。